2025年のM-1グランプリにおいて、ついにそのポテンシャルを爆発させたお笑いコンビ、たくろう。独特の間と空気感、そして見るものを不安にさせつつも爆笑の渦に巻き込む唯一無二のスタイルで、最終決戦まで駆け上がりました。
長年、大阪の劇場シーンを知るファンの間では「いつ世に出てもおかしくない」と言われ続けてきた彼らですが、今回のM-1での活躍により、一気に全国区のスター芸人へと名乗りを上げました。
バンダナ姿で挙動不審なきむらバンドと、スタイリッシュな見た目で冷静にツッコむ赤木。一見ちぐはぐな二人が織りなす漫才は、なぜこれほどまでに面白いのでしょうか。
この記事では、M-1での活躍を中心に、彼らのプロフィール、出身地である愛媛との関係、そしてコアなファンを惹きつけるラジオやネタの魅力について、関連キーワードを紐解きながら詳しく解説していきます。
たくろうの芸人プロフィールと愛媛・赤木の意外な関係
まず、たくろうというコンビの基本的なプロフィールから掘り下げていきましょう。
彼らは2016年に結成された、吉本興業大阪本社に所属する漫才師です。
メンバーは、ボケ担当のきむらバンドと、ツッコミ担当の赤木。二人はNSC(吉本総合芸能学院)大阪校の37期生として出会いました。
当初は別々のコンビを組んでいましたが、解散を経て現在のコンビを結成。
「たくろう」というコンビ名は、特に深い意味はなく、なんとなくの響きで決めたというエピソードも、彼らの脱力したスタイルを象徴しています。
ここで注目したいのが、サジェストキーワードにもある「愛媛」と「赤木」というワードです。
ボケのきむらバンドは愛媛県の出身です。彼のトレードマークであるバンダナと長髪、そして半ズボンというスタイルは、元バンドマン(ベーシスト)であったという経歴に由来しています。
愛媛というのどかな風土が育んだのか、彼の醸し出す「天然」で「ピュア」な、しかしどこか狂気を孕んだキャラクターは、まさに唯一無二の素材と言えます。
地元・愛媛への愛着もあり、過去には愛媛ローカルの番組に出演することもありました。
今回のM-1活躍により、愛媛県出身のスター芸人として、地元からの期待も最高潮に達していることでしょう。
一方、ネタ作りを担当し、コンビの頭脳とも言えるのが赤木です。
彼は滋賀県の出身ですが、その都会的で洗練されたビジュアルは、きむらバンドの泥臭さとは対照的です。
元美容師のような雰囲気(実際にオシャレ好き)を持ちながら、ネタの中ではきむらの奇行を頭ごなしに否定せず、「なんでなん?」「そうなん?」と受け入れつつ困惑するという、新しいツッコミの形を確立しました。
この赤木の懐の深さと、計算されたネタの構成力がなければ、きむらバンドという猛獣はこれほどまでに輝かなかったはずです。
たくろうM1決勝までの道のりと芸人としての評価
たくろうとM-1グランプリの関係は、まさに挑戦と苦悩の連続でした。彼らの名前が一躍全国に轟いたのは、結成からわずか数年後の2018年大会です。
当時、ほぼ無名に近い状態ながら準決勝に進出し、敗者復活戦ではその独特すぎる世界観で視聴者に強烈なインパクトを残しました。
あの時の「野外の寒空の下、風に吹かれるきむらバンド」の姿は、今でもファンの間で語り草になっています。
しかし、そこから決勝への壁は厚く、準決勝の常連となりながらも、あと一歩のところで涙を飲む年が続きました。
「面白いのは間違いないが、M-1の4分間にはハマりきらないのではないか」「劇場の長尺の方が向いているのではないか」といった評論家の声もありました。
しかし、彼らは自分たちのスタイルを曲げることなく、むしろその「挙動不審」さに磨きをかけ続けました。そして迎えた2025年。
ついにその努力が実を結びます。
今年のM-1で見せたパフォーマンスは、これまでの「不気味な面白さ」に「大衆に伝わる分かりやすさ」が加わった、完全無欠の漫才でした。
準決勝を圧倒的なウケで通過し、決勝の舞台でもその勢いは止まらず、初出場にして最終決戦進出という快挙を成し遂げました。
多くの芸人が「M-1で勝つための漫才」を研究する中、たくろうは「自分たちが面白いと思うこと」を突き詰め、結果的にそれが時代の空気とマッチしたと言えます。
先輩芸人である千鳥や笑い飯からも高く評価されていた実力が、ついに正当な評価を受けた瞬間でした。
彼らのM-1での成功は、正統派のしゃべくり漫才だけが正解ではないことを証明し、今後のM-1のトレンドすら変えてしまう可能性を秘めています。
たくろうの漫才ネタとM1で見せた進化
たくろうの漫才ネタの特徴は、一言で言えば「ネガティブ・ポジティブの融合」と「自滅型コミュニケーション」です。
多くのネタにおいて、きむらバンドは何か失敗を隠していたり、ありもしない被害妄想に取り憑かれていたりする「変な人」として登場します。
例えば「美容院の予約をしたいが、過去の些細な出来事を気にして電話できない」「バイトの面接で、聞かれてもいないのに自分の欠点を喋り続ける」といった設定です。
通常の漫才であれば、ボケが奇妙なことを言い、ツッコミが「おかしいだろ!」と正すのがセオリーです。
しかし、たくろうのネタ(M-1ネタ含む)では、赤木は決して強く否定しません。
むしろ、きむらの支離滅裂な論理に耳を傾け、「それはおかしいけど、百歩譲ってそうだとしよう」と、会話を成立させようと試みます。
この「会話が噛み合っているようで全く噛み合っていない」ズレが、じわじわとした笑いを生み出し、最終的には大きな爆笑へとつながります。
今回のM-1グランプリ2025で披露したネタでも、そのスタイルは健在でした。
特に評価されたのは、きむらバンドの「間(ま)」の使い方です。
テンパって言葉が出ない、目が泳ぐ、意味不明な動きをする。
この数秒間の沈黙を、テレビのゴールデンタイムで堂々とやってのける度胸。
そして、その沈黙さえも笑いに変えてしまうキャラクターの強度は、彼らが劇場の舞台で培ってきた経験の賜物です。
派手な動きや大声に頼らず、人間の内面的なおかしさをあぶり出す彼らのネタは、何度見ても新しい発見があるスルメのような魅力を持っています。
芸人たくろうのラジオでの魅力とこれから
M-1での活躍により、漫才師としての評価を不動のものにしたたくろうですが、
彼らのもう一つの魅力は「ラジオ」や「平場(トーク)」にあります。
舞台上では計算されたネタを演じていますが、ラジオ番組などで見せる素のトークは、より彼らの人間味を感じさせます。
特に、きむらバンドの「平場での弱さ」あるいは「天然ぶり」は、ラジオファンにはたまらない要素です。
ネタではない場面でも、上手く喋ろうとして噛んでしまったり、赤木のパスに対してトンチンカンな返しをしてしまったり。
そんな相方を、赤木が楽しそうにいじる構図は、彼らの仲の良さとバランスの良さを物語っています。
ラジオを通して、赤木の「プロデューサー的視点」や、きむらの「愛すべきポンコツ具合」を知ることで、漫才がより面白く感じられるようになります。
M-1決勝後の各種メディア出演でも、このキャラクターは大いに跳ねることでしょう。
まとめ
M-1グランプリ2025での最終決戦進出により、たくろうは名実ともにトップ芸人の仲間入りを果たしました。
愛媛が生んだ奇才・きむらバンドと、滋賀が生んだ司令塔・赤木。この二人が作り出す、不安と爆笑が同居する独特の漫才は、これから日本中を席巻することになります。
彼らの勝因は、自分たちの強みである「挙動不審キャラ」と「優しいツッコミ」を信じ抜き、M-1という大舞台に合わせてブラッシュアップし続けたことにあります。
まだ彼らのネタを見たことがない人は、ぜひ配信や劇場で彼らの漫才を目撃してください。
そして、ラジオやバラエティで見せる素顔にも触れてみてください。
たくろうという沼は深く、一度ハマると抜け出せない魅力に満ちています。これからの彼らの活躍から、一瞬たりとも目が離せません。


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